レトロPC風フィギュア 1/3 スケールから 1/8 スケールへ縮小

catsin さんが公開されている 1/3 レトロPC風フィギュアを、いくつか 1/8 スケールに縮小して出力してみました。(@catsin さんに感謝です!)

フィギュア縮小をどのように行ってるか、作業メモを残しておこうと思います。
モデリングツールは DesignSpark Mechanical、出力は FLASHFORGE Adventurer3(0.4mmノズル、のちに0.3mmノズル)、フィラメントは FLASHFORGE MODERA:PLA を用いてます。以下、それ前提で記載しています。

公開されている STL を編集するには、最初に STLを編集可能なソリッドモデルに変換する必要があります。フリーのモデリングツール、DesignSpark Mechanical には、STL をツール内で編集可能なモデルに変換可能です。
Fusion 360 では、うまく変換ができませんでした。
→ 2021年7月のアップデートで、Fusion360でもソリッドモデルへの変換ができるようになりました。…が、面をマージしたモデルにするためには、サブスクリプション登録[$347/年] が必要です。
→ DesignSpark Mechanical、V6.0 から、ソリッドモデル変換にはサブスクリプション(CREATOR 1600円/月)が必要になってしまいました…。


catsin さんの実際のモデルを用いて、変換してみます。モデルは、PC-8001mkIIです。

STL ファイル読み込み

パーツごとにオブジェクトが分かれていて、ありがたいですー。
組みあがった状態のSTLと、バラバラの状態のSTLが公開されていますが、僕は組みあがった状態のものをベースとして使うことが多いです。

大きさを変更するにはオブジェクトを「ソリッド」に変換する必要があります。

「ファセット」を「ソリッド」に「面をマージ」で変換します。

キーボードパーツだけは「面をマージ」だとエラーになってしまいまいました。

その場合「面をマージしない」で変換します。

「マージしない」場合、細かいポリゴン(三角形)の組み合わせで変換されるため、その後の扱いがちょっと大変ですが、位置移動・大きさ変更程度であれば大丈夫です。

変換した時に「ソリッド」じゃなく「サーフェス」になってしまうこともあります。(パーツに閉じていない部分があると、サーフェスになります。)

「ソリッド」または「サーフェス」になっていれば、大きさの変換が可能です。


全選択して、「プル」を選択、「ボディをスケール」アイコンを選びます。

モデルの適当な点を選んで(どこでもいいです)ドラッグすると、モデルが拡大/縮小されます。
1/3 → 1/8 にするので、37.5%(0.375倍)をキーボードから数値入力。

このへんで、いったんファイルセーブしておきましょう。


1/3 モデルは、カチッと組みあがってネジ止めできる仕組みになっているのですが、1/12 縮小版では、接着剤での固定を前提で考えています。

なので、ネジ穴などは削除しています。ネジ穴を選択して削除。(間違ったところを選択して消さないように気を付けてください!)

DELキーで「削除!」

キレイに消えた。

パーツ組み合わせの箇所は、今回の1/8サイズのような小さなフィギュアだと、出力誤差によって
うまく組み合わされないことが多いので、なるべくシンプルに組み合わさるように形状を修正してます。

こういうかみ合わせは、組み立てると外側からは見えなくなる場所なので

接着剤使用前提で、思い切って平坦にしてしまいます。

とはいえ、2つのパーツを組み合わせが必要な箇所も残ります。出力誤差を吸収するため、組み合わせのどちらか見た目に影響が少なそうな側を 0.2mm 削っています。うちの印刷環境だと、0.2mm 小さめにしておくとちょうどピッタリぐらいのパーツが作成されました。環境によってちょうどいい値は異なるかも。

キーボードをはめ込む場所です。一周ぐるっと 0.2mm ずつ削って、キーボードがハマる穴を広くする感じです。

なんで0.2mm削ると、いい感じになるのか?
これは僕の想像なのですが、ヘッドが 0.4mm なので、おそらく、出力時に想定のサイズから0.1mmほどはみ出るのではないかと思います。なのでその分を前もって削っておくとピッタリになるのでは…と。

以前は、サイズ変更せずに印刷した後でヤスリで削っていたのですが、うまく削るのが難しいので、最初から小さめに印刷したほうがキレイにできます。(とはいえ、最後の最後はヤスリで削ってサイズ合わせすることもアリw)


プルでモデルを削ろうとしても、モデルが消えずに削れないこともあります。

消えなかったり…

変な部分が残ってしまったり…

STLファイルは、再編集を想定していないファイルですので、ソリッド変換しても、思ったように修正できないこともあります。
選択して「削除」、線を選んで「フィル」、面を選んで「フィル」などなどチャレンジしてみましょう。うまくいくかもしれません…。うまくいかなかった場合は、あきらめます。

どうしてもうまくいかない場合は、元のパーツを見本にして、同じ形状のものを自分で作ってしまうのもアリでしょう。

一回全部埋めて、

穴をあけなおしたりとか。

複数のパーツが重複する箇所でプルを行うと、データに不整合が発生することがあるので
他のパーツを非表示にしてプルを行うと良いです。

複雑な形状になっている箇所にプルを行うと、動作が重かったり、最悪、アプリが固まってしまうこともありますので
「一息ついたらセーブ」「ヤバそうなプルの前にはセーブ」を心がけてください!

また、DesignSpark Mechanicalの標準設定だと、プルを行った時に複数パーツを合体させてしまうことがあるので

こちらの設定を行っておくとよいです。


編集したSTLファイルを印刷アプリ FlashPrint に取り込むときに、警告が発生することがあります。

「モデル修復」を選ぶと、想定外ところが変化してしまいますので「スキップ」を選んでください!
いまのところ、「スキップ」で印刷物に問題が発生することは無かったです。「モデル修復」した場合は、想定外のところに面が作成されてしまったりました。

スライス時に「可変レイヤー高」を選んで、斜めになっている箇所のレイヤー高を「密」に設定すると、斜めの部分がなだらかに出力されます。時間はかかりますが、かなり違いが出ますので是非!

また、パーツはできるだけ個別で出力したほうが、パーツ間の糸引きもなく、ヘッド移動範囲も少なくなるため、キレイに仕上がります。まとめて一括出力してしまいたいところではありますが、かなり差が出ます。

最終的には、何度か出力して微調整になりますね。出力1試行で数時間かかりますので、根気強く、かつ、どこで妥協するか、時間&フィラメント残量と相談していきましょう…!


完成したフィギュアがこちら。

着色は、まだまだ課題です…。


(2022/03/25 追記)
その後、本体上部のキーボード穴は塞いでしまう方式で落ち着きました。1/8ぐらいのサイズだと、強度的にもこちらの方が良いですね。

“レトロPC風フィギュア 1/3 スケールから 1/8 スケールへ縮小” への2件の返信

  1. Nochiさん、こんばんは。こむです(^-^)
    3Dモデルデータから3D出力するテクニックが具体的でわかりやすくて凄いです!!
    3Dプリンタを買おうと思いつつも、取り扱いが難しそうで敬遠してきましたが、やはりいいなー3Dプリンタ。
    私も夏の賞与が出たら買います、3Dプリンタ!

    事後承諾で申し訳ありませんが、Nochiさんのサイトを私のブログで紹介させていただきました。
    3Dプリンタを買おうとしてる方や上手く使いこなせなくて悩んでる方の強い味方になりますのでm(__)m

    • お返事遅れてしまってスイマセン!いつもお世話になってますー。
      ここ数年で、3Dプリンタはとても扱いやすくなってきましたので、ぜひ導入してご活用くださいー。
      こむさん、モデリングがすごく上手で、その上、速いので、何でも作れると思います!
      僕は、静音性と、リビングに置くことを考えて、箱に入っている Adventurer3 買いましたが、そこにこだわらなければ選択肢はいろいろありますね。とはいえ、あやしげな格安製品はワナもありそうなので、ユーザが多い定番の製品買うといいと思いますー。