技術書典 16:ミニチュアPC展示 解説(その1)

2024/05/26 の技術書典16 オフラインで、ブースの半分以上を使ってミニチュアPCの展示を行いました。(展示の方が主役になってしまいましたw)

展示物が多すぎて、会場ではほとんど説明できていませんでしたので、それぞれの解説をしたいと思います。
MI68等の「レトロPCは当然ご存じ」の方が多いイベントと比べて、年齢層が若かったですので、いまさらながら「そもそもこれは何のミニチュアなのか」というところからの説明が必要でした…。とはいえ、小さなレトロっぽいPCが動いているということだけでも楽しんでもらえたかな~と思います。

(ひとまずは①~⑩まで、以降、逐次追加していきます。)


ひかる!うごく!ミニチュアPC


1 1/8スケール PC-9801CV
2 1/8スケール X68000XVI、CZ-600D
3 1/8スケール PC-8801FH、PC-KD852
4 1/8スケール MZ-2000
5 1/8スケール MZ-80B
6 1/8スケール 光速船(Vectrex)
7 1/8スケール MZ-731、ナショナルTH11−S11
8 1/8 スケール PC-8001、PC-8043
9 1/8 スケール MZ-80K2
10 1/8 スケール MZ-80C

1. PC-9801CV

モデルデータ:京都電創庵さん

PC-9801CV2は、1988年にNECから発売された、PC-9801シリーズ初のブラウン管ディスプレイ一体型PCです。

NEC PC-9801シリーズ初のモニタ一体型モデル「PC-9801CV21」
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/retrohard/1388896.html

パソコン通信時代に流通していた「MAG形式」の画像データ表示を行っています。MAG画像は主にPC-9801ユーザによって作成されていました。パソコン通信BBSの紹介画像が多かったです。今回表示している画像データは、その当時に集めていたものです。

MAG表示プログラムは、以前にM5Stack用に作成していました。それを外部LCD表示できるよう改造しています。
M5Stack用の時は、640×400ドットのMAG画像を 320×200ドット に縮小して表示していました。今回のミニチュアに搭載した液晶は240×240ドットなので、320×200サイズで描画したものを、さらに2/3縮小して213×133ドットで描画しています。アンチエイリアス付きでの縮小なので、割ときれいに表示できてます。
PC-9801CVミニチュアでは、液晶の下側は隠れてしまってるので、これでちょうどいいぐらいになりました。

MAGデータは本体内のフラッシュメモリ(SPIFFS)に入れています。MAG1枚が30~60KBぐらいなので、M5AtomLite や M5StampPico だと(プログラム以外のフリーエリアが1.5MBぐらいなので)40枚ぐらいは格納できますので、スライドショーが楽しめます。(フラッシュメモリが増えたM5AtomS3Lite であれば、もっと入ります)

ちなみに MAG 表示プログラム、最初に作った時は PSRAM が必須で、M5Stack の中でもPSRAMを搭載した機種でしか動作できなかったのですが、LGFXや M5United 作者のらびやんさんがPSRAM無しで動作できるようバージョンアップしてくれました!(オマケに速度も上がったw)そのおかげで、M5Atom でも動作できるようになったのでした。


2.X68000XVI、CZ-600D

モデルデータ:X68000XVI こむさん(3D Warehouse) 、CZ-600D 京都電創庵さん

X68000XVIは、1991年にシャープから発売されたパーソナルワークステーションです。

復刻X68000シリーズカタログ:パーソナルワークステーション ’91-04 X68000XVI/XVI HD
https://galapagosstore.com/web/book/detail/sstb-B215-1215000-x68k-199104-xvi

それまでのX68000シリーズは10MHz駆動の MPU(モトローラ社はCPUではなくMPUと表記します)MC68000 を搭載していたのですが、X68000XVI では 16MHzに高速化されました。16 = XVI というわけですね。

特徴的なマンハッタンシェイプの筐体も、それまでの丸みを帯びたものから、直線的なシャープな形状になりました。(マジンガーZ→グレートマジンガー、ガンダム/mkII → Ζガンダム っぽい進化だな~と思ってますw)

X68000は、パソコンテレビX1の後継機に当たります。そのこともあって、X68000用ディスプレイモニタの多くは「カラーディスプレイテレビ」という名称で、テレビ放送を見る機能が付いていました。

画面ではパソコン通信時代のPIC画像データ表示を行っています。PIC形式はX68000の主流の画像形式でした。PIC形式は、描画時に、稲妻のように縦線が走るのが特徴です。こちらも、画像データは当時に集めていたものです。(ほとんどは、X68000向けに発行されていたディスクマガジン「電脳倶楽部」収録の物です)

コントローラのM5AtomS3LiteはCZ-600D側に入っています。
X68000XVI本体の電源ランプとHDDアクセスランプ個所にLEDを埋め込んで、読み込みタイミングでそれっぽく光らせています。LEDの点滅もCZ-600Dの M5AtomS3Liteでコントロールしています。
PIC表示プログラムは、以前にM5Stack用に作成したものを外部LCD表示できるよう改造しました。もともとの処理では、512×512ドットを縦横比変換して341×256で表示していました。(キリよく縮小したかったので、左右10ドット&上下8ドットがM5Stack画面に収まってないです)

CZ-600Dでは、240×240液晶のエリアに341×256の入りきる部分だけそのまま表示しています。液晶表示エリアはミニチュアの画面全体よりだいぶ小さいので、表示としてはこれでちょうどいい感じになりました。


3.PC-8801FH、PC-KD852

モデルデータ:PC-8801FH 京都電創庵さんPC-KD852 京都電創庵さん

PC-8801FHは1986年にNECが発売したPC-8801シリーズのパソコンです。大ヒットしたPC-8801mkIISRの直系ですね。この世代から、なぜか「mkII」が付かなくなったようです。

大ブレイクしたPC-8801mkIISRの流れを汲み登場した「PC-8801FH/MH」、CPU速度は倍の8MHzに
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/retrohard/1149741.html

その少し前、640×200ドット8色で画面描画可能なNEC PC-8801や富士通FM-8/FM-7 が発売されて以降、BASICのLINE命令で線を引き、PAINT命令で色を塗ることによってキャラクターを描くプログラムが(一部で)大流行しました。雑誌「テクノポリス」や「ポプコム」には、それらのプログラムが掲載されていて、頑張って打ち込んだものです。データ数字の羅列のプログラムを打ち込むにはガッツが必要…!まさに「ガッツでC.G.」なのです。(もちろん、ドット位置を拾って描画プログラムを作成する側の人の方が、大量のガッツが必要ですけれどw)

ミニチュアPCでは、LINE&PAINTで描くCGを再現してみました。M5Stack用にLINE&PAINT表示プログラムを作っていたので、それを移植しています。データは M5Stack画面(320×240)で表示するように作っているので、240×240液晶の表示で左右が少し入りきってない状態になってます。

LINE&PAINTデータは自作ツール(ガッツでC.G.サポートツール)を用いて、iPad Proで画像を「手動トレース」して作成しました。

こだわりのギミックとして、FDDランプにLEDを埋め込んで、読み込みタイミングでそれっぽく光らせています。
X68000と同様、コントローラのM5AtomはディスプレイモニタPC-KD852側に入っています。LEDの点滅もこちらからコントロールしています。


4.MZ-2000

モデルデータ:シノラボさん

MZ-2000は、1982年にシャープから発売されたモニタ一体型のパソコンです。MZ-80Bの後継機種にあたります。

MZ-80Bがグレードアップして登場!シャープの一体型PC「MZ-2000」
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/retrohard/1314884.html

未来っぽい直線的デザインで、今もファンが多いと思います。

MZ-2000の広告で良く表示されていた「帽子形状のグラフCG」を表示しています。こちらは、公開されていたプログラムをM5Atomに移植しました。
実機で描画させるととても時間のかかるグラフですが、M5Atomなら一瞬で表示されますので、わざとウェイトかけてじっくり表示させたり、開始位置を変えて連続描画してアニメーションさせたりしていました。

帽子グラフ表示プログラム
https://gist.github.com/shikarunochi/ee12a005cbcbd74de124fe673cc45f9e


5.MZ-80B

モデルデータ:シノラボさん

MZ-80Bは、1981年にシャープから発売されたモニタ一体型のパソコンです。

新次元のMZと謳われた名機種『MZ-80B』
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/retrohard/1180885.html

それまでのMZ-80シリーズよりも、ビジネス志向になっています。(BはビジネスのB…というウワサもありますが、ちょっと信憑性怪しいです。)
ちなみにMZ-80Bは、私が一番カッコ良いと思うパソコンです!銀色の重量感あるボディ!かっこいい!

ESP32 + 白黒OLED SSD1306 用に公開されていた「BadApple!!」プログラムを M5Atom + LCD 用に改造して表示しました。

ESP32_BadApple
https://github.com/hackffm/ESP32_BadApple

ちなみに、こちらLR13000さんが作成された MZ-80B実機での Bad Apple!! です。実時間で35時間かかったものをインターバル撮影した動画とのこと!すごい…!


6.光速船(Vectrex)

モデルデータ:自作です。(すいません、いまのところ未公開です)

光速船は、1983年にバンダイが発売したゲーム機です。海外では1982年にアメリカのGeneral Consumer Electronics(GCE)社が「Vectrex」として発売していました。

CRT一体型のゲーム機で、画面描画方式は「ベクタースキャン」という通常のテレビとは異なる方式でした。

ALL ABOUT 光速船/Vectrex
https://vectrex.takuranke.com/

本体は、クラシックゲーム大博覧会の寸法図からモデリングしました。こちらの本、三面図に寸法まできっちりと載っているので、3Dモデル作成時にとても役に立ちます!

表示は、本体同梱のゲームマインストームのデモ画面冒頭をそれっぽく作成しました。(ベタで順次描画するプログラムを書いています。)


7. MZ-731、ナショナルTH11−S11

モデルデータ:MZ-731 京都電創庵さん、TH11-S11 自作(Shikarunochi GitHub

MZ-700は、1982年にシャープから発売されたパソコンです。MZ-80Kシリーズの直系にあたり、MZ-80Kシリーズでは初めてのカラー画面表示対応、そして「画面一体型ではない」タイプとなりました。

ハードの限界を何度も乗り越えた「シャープ MZ-700」
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/retrosoft/1058608.html

M5Atom用のMZ-700エミュレータで、Tookatoさん作のMZ-700用アドベンチャーゲーム「ロポコ」を動作させています。表示しているテレビは、ナショナルカラーテレビ TH11−S11。コントローラのM5Atomは TH11−S11側に入っています。(MZ-731の中には特に何も入って無く、単なるミニチュアです。)

MZ-700シリーズの最上位機種、MZ-731は本体にプロッタプリンタを搭載しています。(ボールペンで書いて印刷します!動作がカワイイ!)

広告では、プロッタプリンタでグラフ表示している姿が掲載されているのですが、ミニチュアではこれを再現しました。
国立国会図書館のオンラインで閲覧できる「MZ-700 ジョイフルパック」収録のプロッタプリンタグラフ表示プログラムを、Webブラウザの JavaScript Canvas 描画に移植して、それを印刷しています。


8.PC-8001、PC-8043

モデルデータ:PC-8001 京都電創庵さん、PC-8043 自作モデル(すいません、今のところ未公開です)

PC-8001は1979年にNECから発売されたパソコンです。当時は NEC の PC-8001、シャープの MZ-80K/C、日立のベーシックマスター/L2/L2II を指して「マイコン御三家」などと称していました。その中でも、横80文字表示、160×100セミグラフィック表示、カラー表示が可能なPC-8001は、一つ抜けてた感ありました。(シャープ派だったので認めたくはなかったが)

日本のパーソナルコンピュータ史に残る名機「NEC PC-8001」
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/retrosoft/1062729.html

2019年には、40周年記念として 1/4 サイズのミニチュア「PasonomMini PC-8001」が発売されていました。

細部まで再現し、BASICが動作する「PasocomMini PC-8001」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1198824.html

キーボード刻印までしっかり再現されていて「さすが!」という感じです。(それでもNECマークは付けることができなかったようですし、発売に至るまでには裏ではいろいろな苦労があったと思われます…。)

今回展示していたPC-8001ミニチュアは 1/8と1/12サイズで、さらに小さくなっています。

PC-8001は、色が難しいんですよね。何色と表現したらよいのかわからないファンクションキーの色…。

ディスプレイモニタ PC-8043 ミニチュアは、M5StampPico を内蔵していて、Raspberry Pi用の「N80pi」をM5Stackに移植したPC-8001エミュレータが動作しています。

ディスプレイモニタは電源ランプをLEDで点灯させています。(会場の写真だとうまく写ってないですね~。しっかり写真撮ればよかった。)


9.MZ-80K2

モデルデータ:シノラボさん

MZ-80K2は、1980年にシャープから発売されたパーソナルコンピュータです。当時発売していたMZ-80Cの下位機種にあたり、MZ-80シリーズの初代であるMZ-80Kの後継機という位置づけですね。私が一番最初に触れたパソコン(マイコン)なので、個人的な思い入れがあるマシンです。

ミニチュア作成で、しっかり色まで塗ったのは、このMZ-80K2が初でした。この完成時点では、画面はエミュレータ表示では無くて、PCに表示した画面を ESP32 ScreenShotReceiver で転送表示してました。

その後、MZ-80/MZ-700エミュレータをM5Atomで動作させることができるようになりました!MZ-80K2ミニチュアで動作させるときは、画面描画を緑色ではなく白色で行うようにプログラム変更してます。

表示しているのは、AKDさんのMZ-80K/C/1200版世界時計です。


10.MZ-80C

モデルデータ:シノラボさんのモデルをベースに作成

MZ-80Cは、1979年にシャープから発売されたパーソナルコンピュータです。初代機種のMZ-80Kと同様に、モニタ・カセットが一体型となったオールインワンタイプでした。(かっこいい!)

「クリーンコンピュータ」思想で、ROMには簡単なモニタのみが搭載されていて、BASICを使うにはテープからBASIC本体のプログラムを読み込む必要がありました。読み込みは1~2分で、そんなに長いわけではないのですが、他の御三家「PC-8001」「ベーシックマスター/L2/L2II」はROMにBASICを搭載していて、電源ONですぐBASIC操作ができるのがちょっとうらやましい時もありました…。

シャープから新しいバージョンのBASICが発売されて速度や機能がUPしたり、PASCALやFORM(Tiny FORTRAN)などの多言語が発売されたり、シャープ以外のハドソンソフトからパワーアップしたBASIC「Hu-BASIC」が発売されたりしたのは「クリーンコンピュータ」の利点でしたね。

カセットデッキが本体一体型であることもあり、他の機種より読み込み速度は高速でした。信頼性も高く、テープ読み込みエラーが発生した記憶がほとんどないです。

2017年には、1/4スケールのミニチュア「PasocomMini MZ-80C」が発売されました。

ハル研究所、MZ-80Cエミュレータ付きの手のひらPC「PasocomMini」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1059128.html

造形はすばらしく、キーボード刻印もしっかりあります。

でも…モニタは実際に表示できるわけではなかったのが残念でした…。発売当時、Oh!石 さんが、PasocomMini を改造して2インチモニタ内蔵されてるのを見て感動していました。(これを見たことが「欲しければ自分で作るしかない!作ればいいんだ!」という決意につながった…気がします)

PasocomMini MZ-80Cの改造
https://cwaweb.bai.ne.jp/~ohishi/zakki/pcmini.html

ミニチュア MZ-80Cを作るのは2回目で、今回は本体のボンネットオープンと、コントローラ(M5Stamp Pico)の内蔵に挑戦しています。

展示では、MZ-80K/Cエミュレータを用いて、タスクフォース高知さんから無償公開されているビルディングホッパーを動作させていました。(デモ画面がループするので展示デモに使いやすく、ありがたいです~)

MZ700WIN関連ファイル再配布所
http://mzakd.cool.coocan.jp/mz-memories/mz700win.html

LEDで電源ランプを光らせています。(この当時、LEDがお気に入りだった)

ボンネットオープンは、ギミックとしての楽しさだけでなくて、内部へのアクセスを可能にしています。

ちなみに、会場では、Can★Doで発売しているソーラー式ターンテーブルに乗せて回転させていました。屋内なのでパワーが出ず、たまに止まってましたw

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